3月11日から行われている大相撲春場所は大阪開催だが、近年の地方場所では、なぜか力士たちの宿舎が会場より遠いケースが目立つ。例えば大阪場所での錣山部屋の宿舎は、会場から電車で片道1時間以上かかる奈良県大和高田市にある。これには理由がある。
「角界にとって地方場所は“集金場所”という感覚がある。宿舎として体育館に近いお寺の本堂を借りると稽古場の建設も含め70万~80万円の費用がかかるが、これをタニマチの工場や倉庫を無償で提供してもらえば、協会から土俵作成のために支給される『土俵維持費』が全額浮く。そのため条件に合う宿舎がどんどん遠くなる」(若手親方)
この親方によれば、米、肉、魚、野菜類はもちろん、調味料や日常必需品まで差し入れてもらえる。光熱費から貸し布団代まで後援会が支払ってくれるケースもあるという。宿舎が本場所の会場からどんどん遠くなり力士にとっては不便なはずだが、意外と不満の声が出ないのはそのためだ。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号