──全国の高校野球ファンに、甲子園でどんな野球を見て欲しいですか?
濱田監督:ガッツポーズ禁止もそうですが、攻守交代の速さなど、「これぞ高校野球!」というところを見てもらいたいと思います。九州大会が終わった後、富校のプレーの評価がものすごく高かったと聞いたので、「自分たちがやってきたことは間違いじゃなかった」と、子供たちにも言いました。
──最後に、濱田監督がいまの高校野球に提言したいことはありますか?
濱田監督:「どうして高校野球をするのか」ということをよく考えます。勝利至上主義の学校があれば、人を育てている学校もある。並存しなくてはいけないのに、相反する形になっていると感じる時があります。
例えば、いくら強くても眉毛を剃っていたり、報道の方との受け答えもなっていない学校があれば、それはおかしいと思います。高校野球は人作りと思っているので、野球が上手いだけで、世の中をなめているような野球はして欲しくないです。社会に出て、会社で一生懸命に働いて、その会社の方から、「高校野球をやってよかったね」とか、「どこどこの高校で頑張ったから、今の君があるんだ」とか、そういう風に言ってもらえたらいいと思います。
子供たちには、「甲子園に行ったからって、勘違いするな!」とよく言っています。すべて自分たちが思う通りになるような感覚になってしまうから、事あるごとに調子に乗らずに、謙虚にと、くぎを刺しています。うちのように1回も勝てなかった学校が甲子園に行くことで、そこを考えられるような切っ掛け作りになればいいと思います。
【PROFILE】濱田登監督(はまだ・のぼる)
1967年12月18日生まれ。宮崎商業から九州国際大学で野球を続け、会社員をから1995年に都農高監督を経て、2004年に母校・宮崎商業の副部長から監督に就任し、2008年に赤川克紀(東京ヤクルトスワローズ)を擁して夏の甲子園出場。2013年からは富島高校を率いて強豪校に押し上げ、今回のセンバツが春夏通じて初めての甲子園。商業科教論。