──他にキーワードはありますか?
濱田監督:「根拠」です。グラウンドの所々に、「なんで?」と張り紙がしてあります。今やっている練習はなんでやっているのかという根拠をしっかり持ってから、やりなさいということです。この練習が今なんで必要なのか、コーチたちが今なんで繰り返しやらせているのか。そういった根拠を考えることも大事だと話しています。
──トレンドの野球ノートは書かせていますか?
濱田監督:私が名前を書いて渡す野球ノートがあります。ただ提出はしないで、自分たちで書くだけです。例えば、朝の読書の時間に読んだ本のフレーズが自分に響いたと思えば、それを書き留めるのもいいし、練習中に自分の出来たことやできなかったこと、またミーティングの時のメモに使ったりしています。
──どんな野球を目指していますか?
濱田監督:バランス型です。守備型や攻撃型と考えた時に、相手のピッチャーだったり、バッターだったりで、当然対応は違ってきます。甲子園での1回から9回までの戦い方を想定し、相手との力関係も考えながら、点の取り方や点の防ぎ方をバランス良く考えているつもりです。
──それは言い替えると、相手によっていろんな変化が出来るということですか?
濱田監督:そうですね。それが富校の強みだと思っています。相手チームを丸裸に分析して、そこで自分たちの対策をしっかり練って、それを徹底してやって勝つ。それが秋の予選から九州大会決勝まで、ずっとやってきた戦い方です。
──勝っても、打っても、抑えても、ガッツポーズ禁止の理由は?
濱田監督:過去に何があったわけではありませんが、やっぱり相手があって、試合ができるので、相手に対する畏敬の念が一つです。もう一つはガッツポーズする暇があったら、次のプレーを考えなさいということです。例えば、アルプススタンドに向かってガッツポーズしている高校球児は沢山いますが、そんな暇があったら次のプレーを考えた方がいい。もしピッチャーが交代すれば、考えなければいけないことが沢山あると思います。
──ヤンキースで活躍した松井秀喜さんも、同じ理由でガッツポーズはしませんでした。
濱田監督:松井さんの「不動心」という本を読んだので知っていました。子供達には、「淡々とプレーしなさい」と言っています。「感情の浮き沈みが、出来るだけ出ないように」と話しています。だから、ゲーム中に「ゼロ、フラット、ニュートラル」という言葉をよく言います。ゲーム中は、淡々とプレーできる声がけを心掛けています。