抗がん剤や放射線は投与すると効果を発揮するが、持続しない。その点、CAR-T細胞は体内をめぐり、攻撃対象が消滅するまで作用する。治療は通常1回の点滴で済む。
「昨年、アメリカで急性リンパ性白血病に対し、CAR-T細胞製剤が保険承認されました。T細胞にウイルスを介して遺伝子を組み込み、培養するための技術や施設費などで、その薬価は5300万円と高額です。それでも効果は絶大で、治療法がないといわれた子供たちの約90%が、寛解したという報告に世界中が驚きました」(高橋教授)
現在、CAR-T細胞療法はアメリカと中国が中心となり、臨床研究が進められている。日本でも今月から、名古屋大学医学部付属病院で、急性リンパ性白血病の患者に投与する臨床研究が開始される予定だ。独自の製造方法を開発し、コストが大幅に削減されている。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年4月6日号