「2002年のデータによると、高血圧・高血糖・高血中脂質の3つが揃うと疾患の発症リスクが35.8倍になります。そんな大げさなと言われるかもしれませんが、少なめに見ても8~9倍にはなるでしょう。怖いのは、ひとつひとつのリスクが少し高い場合でも、3つ重なるとすごく悪くなることです。少しくらいならまだ大丈夫、ということはありません。また、これらは突然、発症します。なので、自分で不調を感じないからと何もしないでいると、突然、心筋梗塞や脳梗塞になる可能性があります。気づかないうちに体の中では徐々にリスクが迫っているんです」
防ぐためには血圧・血糖・血中脂質の3つをケアするトリプルケアが必要だというが、具体的にはどんなことを心がければよいのか。
「基本的には運動と食事療法になります。人によって食事の量であったり、食事の偏りだったり、間食だったりと、ケアしなければならない内容は様々です。まずは現状を把握するために、少し前に流行ったレコーディングダイエットのように、食べたモノをすべて記録するのも有効な方法だと思います。意外に、無意識に食べているものが多いことに気づきますよ。運動については、座っている時間を短くするだけでもかなり違いが出ます。最近はスマホに歩数計機能がついていることが多いですから、それで普段は何歩くらい歩いているか把握して、少しずつ運動量を増やすのもよいですね」
若いときにスポーツが得意だった人にありがちな、豪快に食べる癖がついている人も要注意だ。
「引退したスポーツ選手は、太りやすいですね。現役の頃よりも運動量は減っているのだけれど、そのときたくさん食べる生活をしていた人は胃拡張になっています。胃拡張というのは、胃がどのくらいふくれると頭が満足するか、ということで、胃が大きいわけではありません。食べ始めてから頭が満足するには20分かかります。なので、一人前を20分かけて食べる、つまり早食いをやめてゆっくり食事をする、腹八分目でやめる、といったことを繰り返して、少しずつならしてゆくのがよいでしょう」
将来の健康寿命を延ばすために、トリプルケアには早く取り組んだほうがよいという。
「若ければ若いほどいいでしょう。日本の場合だと40代男性の肥満がすごく増えていますが、そのままだと50代、60代で病気になります。でも、肝心の40代男性には自分に危険が迫っている自覚がなく、ケアをしない。そのまま60代を迎えると、健康寿命が短くなることに繋がります。体重が20歳頃に比べて10キロ以上増えたら要注意ですね」
新年度は、異動や転職など新しい環境での生活が始まる人も多い。新しいことに挑戦するには、よいタイミングだ。トリプルリスクをケアするのが当たり前の新生活にチャレンジするのはどうだろうか?