遡れば、プロ野球の球団は沿線人口を増やすという狙いから、親会社は鉄道が多かった。旧国鉄、さらに阪急や近鉄、南海、西武ライオンズの前身、西鉄ライオンズなど。それがいまや時代の流れもあり、鉄道系は西武ライオンズ、それに阪神タイガースの2球団しか残っていない。
前述した昨年11月の会見で、後藤氏はこう述べている。
「阪急阪神HDさんにとって、阪神タイガースや甲子園球場が、沿線エリアのバリューアップに相当な貢献をしていることは間違いない。
翻って我々西武グループも、西武ライオンズが40年という歴史を刻んでいるわけでありますし、西武鉄道沿線の方のみならず、2008年に埼玉西武ライオンズとしてから、埼玉県全域にファンが広がりました。
少子高齢化で生産年齢人口が減っていくという厳しい事業局面にはなっていきますが、今回の球場の改修計画を大きなテコにしてぜひ、沿線人口も増やしていきたいと思います」
移転40年を記念して、総額180億円を投資するメットライフドームと周辺の大改修、そしてまだペナントレースが始まったばかりとはいえ、埼玉西武ライオンズの快進撃、西武HDの本社移転や今後の再開発計画など、“上げ潮”の中で攻める西武グループは、本格的に東急電鉄や阪急阪神HDという2強の追撃態勢に入れるか――。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)