極めつきは「気のいい馬だから、今後が楽しみ」という文言。普通ならば「気性が優しい」と思うわけですが、業界では全くの逆。容易に折り合いがつきにくい荒れ馬こそが「気のいい馬」です。おとなしい馬よりも大きく化ける可能性を秘めている。上手に調教すれば、将来は強い馬になる、という期待が込められています。
手に余る暴れん坊の悪童でも、「息子さんは気がいいから、先が楽しみです」と言われれば悪い気はしないのではないでしょうか(笑い)。
●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後17年で中央GI勝利数24は歴代3位、現役では2位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカなど。本シリーズをまとめた『競馬感性の法則』(小学館新書)が発売中。2021年2月で引退することを発表している。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号