平和ムードでアメリカに戦争を起こさせず、北朝鮮の核を「凍結」したまま米軍を韓国から撤退させるのが金正恩の狙いであり、それを必死に手助けしているのが韓国なのだ。
文在寅が描くシナリオは、現在、アメリカが握っている戦時作戦統制権を2020年代半ばまでに韓国が取り戻し、在韓米軍を撤退させる。そして「後は我々民族の問題だ」と主張して南北で平和協定を締結し、統一に向かうというものだ。
在韓米軍の撤退は中国の思惑とも一致する。中国が「追加配備はしない」という条件で韓国のTHAAD配備を事実上許容したのも、3月に金正恩を北京に招待したのも、米軍がいなくなれば朝鮮半島全体を中国の影響下に置くことができると考えているからだ。
【PROFILE】呉善花/1956年韓国済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『韓国と北朝鮮は何を狙っているのか』(KADOKAWA)、『超・反日 北朝鮮化する韓国』(PHP研究所)など多数。
※SAPIO2018年5・6月号