定年後の嘱託社員に「シニアアドバイザー」といった肩書きを設けることで、「かつての部下が上司の部長、というような状況をなんとなくわかりにくくできる」(大手金融機関40代社員)といった狙いもあるようだ。
一方でそうした複雑な肩書きを見直す“原点回帰派”も出てきている。今年、創業100周年を迎えたパナソニック(旧・松下電器)だ。
同社は中村邦夫・現特別顧問が社長時代に「破壊と創造」を掲げ、創業者・松下幸之助氏が築いた独立採算制の組織「事業部」の解体など組織の再編に踏み切った。しかし、2012年に就任した津賀一宏・社長は事業部制に続き、部課長制も復活。それまでの「グループマネージャー」を「部長」、「チームリーダー」を「課長」に戻している。
パナソニックといえば、漫画『島耕作』シリーズで島が所属するテコット(初芝電産)のモデルとされ、同社の肩書きはまさに“島耕作の世界”に戻ってきた感がある。「肩書き」をめぐる変化と試行錯誤からは今後を模索する各企業のスタンスが浮かび上がってくる。
※週刊ポスト2018年5月18日号