声帯結節や声帯ポリープなどに対して、全身麻酔で行なうのが喉頭微細手術だ。喉頭鏡という器具を口から挿入し、顕微鏡下で器具やレーザーで突出箇所を除去する。この手術は病変をしっかり確認しながら行なうことができるため、声帯病変を最小限に切除できる。合併症がほとんどなく、出血も少ないのが特徴で、1泊2日で退院可能だ。年齢的な問題や合併症などで麻酔の手術ができない場合、鼻から挿入する経鼻ファイバースコープで治療することもある。
「声帯結節や声帯ポリープは声の出し方に問題があるので、手術が難しい患者に対しては声の出し方を矯正する音声治療を行ないます。これは言語聴覚士が付き、声帯に負担をかけない声の出し方を指導するもので、治療だけではなく、再発予防にも欠かせません」(渡邊センター長)
たかが声枯れと油断していると大動脈瘤や甲状腺がんなど命に関わる病気が隠れているケースもある。日頃から声の変化に注意し、不調を感じたら、喉の専門医と言語聴覚士がいる医療施設を受診して原因を特定し、治療方針を決定することが重要だ。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年5月18日号