首都・東京で数年ごとに繰り返されるのが大雪騒動。今年の1月にも、東京を中心に首都圏で広く雪が降って交通機関がズタズタになり、タクシー乗り場には長蛇の列ができたが、大渋滞によりタクシー内に缶詰状態になった時には、メーターは止めるべきではないのか? という疑問が寄せられた。弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
大雪の日、運よくタクシーに乗車できたのですが、道路は大渋滞。近くに駅もなく、雪を避けるため2時間ほど乗り続けていたら、料金が途方もない額に。大雪は乗客にとって想定外であり、仕方なく乗ったわけで、運転者は料金メーターを止めなければいけなかったと思います。この主張は間違っていますか。
【回答】
タクシーの料金は事業者が決めるのですが、国の認可が必要です。国は適正原価と適正利潤の範囲内で、業者間で不当競争が起きない場合に認可します。運賃については距離制運賃を原則としています。距離制運賃とは初乗り運賃と加算運賃を定め、旅客の乗車地点から降車地点までの実車走行距離に応じた運賃です。これだと渋滞していても、走行距離が変わらなければタクシー料金は変わりません。
しかし、渋滞で時間がいくら掛かっても運賃は同じ額になり、遅れる乗客は不便を我慢すれば済みますが、タクシー会社は商売になりません。そこで距離制運賃には時間距離併用運賃が含まれます。
これは時速10km以下の一定の速度を定めておき、それ以下の走行速度になった場合には運転に要した時間を加算距離に換算し、距離制メーターに加算します。今現在、多くのタクシーが、この制度による運賃です。この他、初乗り運賃と加算運賃を定め、旅客の指定した場所に到着した時から旅客の運送を終了するまでの実拘束時間に応じた運賃(時間制運賃)と定額運賃制度があります。