後半はリレー落語。白鳥には渡世ブタの豚次を主人公とする全10話の連作「流れの豚次伝」があるが、ぴっかり☆が第3話『任侠流山動物園』を演じた後、こはるがそれを受けて第4話『雨のベルサイユ』へ。
東映の任侠映画が好きだというぴっかり☆は、豚次シリーズの原点『任侠流山動物園』のクライマックスに緋牡丹博徒お竜へのオマージュを盛り込み、女性演者ならではの魅力を見事に加えた。
圧巻だったのがこはるの『雨のベルサイユ』。もともとキレのある口調で威勢のいい江戸落語を聞かせる「女性なのに男前」な演者だが、その見事な語り口がこれほどまでに「豚次」シリーズに似合うとは! 男気溢れる豚次の姿を颯爽と描き、笑いの中にも感動を呼ぶ、講談調のドラマティックな一席だった。
白鳥作品を女性演者が演じて「女性の落語ゆえの面白さ」を堪能させる「The Woman’s落語会」、やはり素晴らしい企画だ。
●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。
※週刊ポスト2018年5月25日号