国内

出所者の社会復帰を支援 「刑務所専門求人誌」の募集要項

すべての漢字にルビが振られている

 刑務所内の高齢化対策が進む一方で、若者の社会復帰を支援する動きも始まっている。今春創刊された「受刑者向け」求人誌の中身とは。

 その名も『Chance!!』という。今年3月に創刊された日本初の刑務所専門求人誌で、全国の刑務所や少年院など20以上の施設に合計800部が配布された。支援団体を通じて130人以上の受刑者にも配布されたという。

 創刊号に掲載された求人企業は飲食、製造、建築、介護などを手がける12社。多くは社員数名~数十名規模だが、中には社員400名を超える外食産業もある。各企業の「募集要項」に記される内容も、仕事内容、応募資格、勤務地・時間、給与、社会保険や社員寮といった福利厚生など、一般の求人誌と特に変わりはない。給与体系も一般の求職者と同じで、経験や技術によっては60万円近い月給が保証される職場もある。

 一方で、一般向け求人誌にはない特徴も。全ての漢字に読み仮名を振る配慮がされているほか、「刑務所専門ならでは」の項目がある。それが、募集要項に設けられた「採用できない罪状」だ。企業ごとの違いはあるが、多くが「殺人」「強盗」「強姦」などの凶悪犯罪に加え、「覚せい剤」などの薬物使用者をNGとしている。逆に、犯歴を「一切問わない」企業もある。

 刊行したのは、犯罪歴や非行歴のある人の就労支援を手がける株式会社ヒューマン・コメディ。同社代表取締役の三宅晶子氏は、創刊の意図をこう明かす。

「現実問題として、前科のある方が正規に就職するのはなかなか厳しい。隠そうとしても身辺のチェックが入ればすぐバレてしまいます。今はネットでなんでも出てきてしまうから。だったら最初からオープンにしてしまおうという発想です。彼らが就職や住む場所に困るのは『自業自得だろう』という気持ちが世間にあるのかもしれませんが、犯罪を許すのは難しくても、出所後にやり直しがきく社会であってほしい」

 三宅氏によると、出所者を雇った経験のない企業には、求人誌への掲載は勧めていない。せっかく就職しても長続きしないなどのトラブルはよくあることだという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト