内科系では、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満症、花粉症、小児ぜんそく、認知症などが対象で、他の診療科ではアトピー性皮膚炎、うつ病、前立腺肥大症、勃起不全、不眠症などがある。
ネット診察だから診察料が安くなるかと思いきや、その逆だ。患者が払うのは、対面診療と同じ費用に「オンライン診察料700円」の1~3割分が加算される。症状が安定していて、同じ薬をもらうだけの人にとっては、通院費が不要のうえ、病院や薬局で並ぶ必要がなくなるが金銭的負担という意味においては病院や医師側のメリットのほうが大きいように思える。
また、「画面越し」できちんと診断してもらえるのかという不安も当然生まれてくる。在宅医療専門の彩黎会ホームオン・クリニック院長・平野国美氏はこう言う。
「“特に体の異常も感じないし、薬の定期処方だけだからテレビ電話で診療してもらえばいい”と安易に考えるべきではありません。自覚症状がなくても、水面下で病気が進行していることもあります。医師もテレビ電話越しでは細かな変化に気付けない。また患者さんが自分の口だけで身体の状況を説明することが難しい場合もあるので、やはり定期的には医師が直接会って、患者さんの顔色を見たり触診したりすることは医療の原則だと思います」
制度の変化に抗うことは難しいが、うまく付き合うことで自身のカネも、時間も、健康も守ることにつながる。
※週刊ポスト2018年5月25日号