あるところに3世代同居のお隣さん同士がいた。一方の家のおばあさんがけがをした雀を介抱していると、子や孫から「ボケたのか」と小馬鹿にされたが、やがて回復した雀がおばあさんに恩返しし、一家は大金持ちになる。

 悲惨なのは隣家のおばあさんだ。自分の子や孫から「隣のばあさんに比べてあんたは役立たずだ」と罵られた。悔しさのあまり、おばあさんは真似をして雀にけがをさせるが、怒った雀の逆襲に遭い殺されてしまう。

「小馬鹿にされたり罵られたりと、この物語は、鎌倉時代の老人の地位の低さがよく表れています。最初におばあさんが雀を介抱したのも、同居している子や孫から厄介者扱いされた孤独感からでしょう。近代になり教育が行き届いたことで、“老人蔑視”は落ち着きましたが、社会が不安定になり余裕がなくなった今、近代以前のように家庭内で苦しめられる老人がいても不思議ではありません」(大塚さん)

 実際、2002年の福島県の資料によると、福島県の自殺者の4割が老人で、そのほとんどが家族と同居していたというデータもある。これに対し、1人暮らしの老人の自殺の割合は全体の5%以下だった。

 一方で、親を孤独に追いやる家族もまた、深い苦悩を抱えている。昨年12月、同居する母(75才)が自宅で亡くなっているのを2日後に発見した都内在住のA子さん(48才・パート主婦)が語る。

「死因は心筋梗塞でした。母は足が悪かったので、一日自室で過ごすことも多く、ほとんど外出はしませんでした。食事は一日一食しか食べない人だったので、一緒に食卓で食べることもあまりなかった。

 亡くなった日の前後は、私もパートや地域の見守り会、子供のお弁当、夕食作りに塾の送迎など毎日バタバタで…。夫は単身赴任中で手伝ってくれる人もいないし、1日24時間あっても足りないくらい忙しいんです。高校生の子供は私立に通わせていて、教育費にお金もかかりますし、パートを辞めるわけにもいきません。死後2日も気付かなかったことは本当に申し訳ないと思っています。でも、顔を見ていないな、と思ったら亡くなっていたなんて…私が悪いのでしょうか」

※女性セブン2018年5月31日号

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