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中高年ひきこもりの実態調査が極めて困難な理由

 Aさんは中学生だったある日、突如自室から出てこなくなり、高校へは進学したもののすぐに退学し、その後現在に至るまで仕事をするどころか「半年に一回顔を合わせるかどうか」(Bさん)という状態だ。ひきこもりの原因についてはかたくなに語らず、教師やカウンセラーが自宅を訪ねてきてもAさんが応じることはただの一回としてなかった。

「最初はね、お友達とか訪ねてきてくれていたんですよ。Aも友達だけは部屋に招き入れ、ゲームなどやっていた。でもお友達も、大学に行ったり就職したり、結婚したりしてね、誰も来なくなっちゃった。何年か前に、Aと仲良しだった子が家に訪ねてきてくれましたが、Aは部屋から出てこなかった。その晩、Aは部屋で大暴れして、ワーッと叫び声が聞こえました。あの子なりに、取り返しのつかなくなった自分とお友達を比較したんでしょう」

 前出の記者が指摘する通り、このような状態のAさんに話を聞けるわけがなく、もし実態調査が前回のように、100問超の質問に本人が答える形式ならば、それは有効な結果を得られるのか、始める前から疑わしい。また、ひきこもりがいる家庭そのものが社会から断絶されているパターンでは、政府統計からすでに「漏れている」ことも考えられる。東京都下の公営団地に住む奥田伸介さん(仮名・57歳)は、隣家にひきこもりの男性がいることを承知して十数年になるが、ある日驚くべき事件に遭遇した。

「お隣のXさん(80代)の息子さんは、たぶん30年くらい引きこもっていました。以前は近所中で噂になり、お気の毒ねなんて話していたんです。夜に息子が暴れたりして、警察沙汰になったこともありました。でも急に静かになってね。Xさんも最初は悩んでいたようでしたが、途中から諦めたようで」(奥田さん)

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