(4)10年以上管理会社が変わっていない物件を買う
マンション管理というのは日本の数少ない成長産業である。なぜなら、分譲マンションは増える一方なので市場規模はどんどん広がっている。しかも、管理会社が大手デベロッパーの子会社である場合、管理業務委託は自動的に受注できる。それも、キチンと利益がでる委託料での受注だ。
だから、新築マンションの引渡しが終わって管理組合の活動が始まると、管理業務委託料を軽減するために管理会社を変更するのが賢明な方策である。意識が高くて清廉、さらに実務能力の高い人が管理組合の幹部に就任した場合はほぼ、管理業務の見直しやコストカットのために管理会社変更を画策する。
仮に築10年以上のマンションで、過去に一度も管理会社変更の動きがなかった管理組合は、健全な活動をしてきたとは言い難い。歴代の理事長や理事が、なあなあの事なかれ主義で組合業務をこなしてきたか、何かの紛争があって重要な議案が通らない状態なのかのいずれかだ。
あるいは長期にわたって同じ人物が幹部として理事会を牛耳っている状況で、なおかつ管理会社変更の動きがない場合は、その人物と管理会社が癒着している可能性が高い。このように、管理組合が健全に機能していないマンションは、将来管理面で大きな問題が発生する可能性が高いので、避けるべきだろう。
ただ、最近は人手不足なので管理会社変更がビビッドなコスト軽減につながりにくくなっている現状がある。なので、3年以上過去の事績を見るべきだろう。
(5)管理費と修繕積立金が不自然に高い物件を買う
管理費や修繕積立金にはいちおうの目安がある。普通のマンションなら平米単価がともに200円。あわせて400円だ。70平方メートルなら2万8000円になる。
タワーマンションなら修繕積立金が平米単価300円くらいないと足りない、と考えられる。今後、建築関係のコストが低下することはなさそうだから、大規模修繕では複雑で高コストな作業が求められるタワーマンションの修繕積立金は、今後平米400円くらいに上昇しても不思議ではない。
しかし、管理費や修繕積立金が高くなると、中古マンションとしての魅力は薄まる。あまりランニングコストの高いマンションを買ってしまうと、売りにくくなる。
(6)管理費と修繕積立金が不自然に安い物件を買う
新築マンションを開発するデベロッパーは、売りやすくするために管理費や修繕積立金を出来るだけ安く抑えようとする。ただ、管理費には人件費や機械の保守管理費など最低限のコストが発生するので、不自然に安くは設定できない。さらに、管理費は子会社である管理会社の日常における基本的な収益だから、あまり圧迫できない。
だから、修繕積立金を低く設定して売り出す場合が多い。修繕積立金は通常の板状型マンションで平米単価200円程度が目安だが、これを60円や50円に設定しているケースをよく見かける。5年後に2割、10年後に3割、15年後に……と徐々に値上げをして、最終的には当初の3倍くらいする長期修繕計画が策定されていたりする。
修繕積立金が不自然に安い物件は、将来的に不自然に高くなる可能性が高いのだ。これは要注意。
(7)駐輪場が整然としていない物件を買う
中古マンションは「管理で買え」と言われることが多い。ある意味、正解である。しかし、管理はあまり外からでは分からない。
もっとも分かりやすいのが、掲示板と駐輪場。掲示板にきっちりと知らせるべきことが掲示されているマンションは、管理の質が高いと見做せる。同様に駐輪場が整然と使用されている場合も、管理が行き届いている証左。管理が乱れると。駐輪場が雑然となる。