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1回の注射で効果が持続する「高血圧ワクチン」の治験開始

高血圧ワクチン最前線を解説

 血圧が上がるメカニズムの1つは、体内の水分・塩分バランスによる影響だ。体内で水分・塩分が不足すると腎臓からレニンという酵素が産生され、血中のアンジオテンシンなどのホルモンを活性化させて血管が収縮する。逆に水分・塩分が多くなるとレニンの分泌が抑えられ、汗や尿として水分と塩分を体外に出す。

 研究によると、血圧は5ミリメートル/ヘクトグラム下がると重篤な血管系イベントの脳梗塞の発症リスクが約14%低下、心筋梗塞は約9%、死亡リスクが約7%低下するとされ、適切な血圧コントロールが欠かせない。

 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄付講座の森下竜一教授に話を聞いた。

「高血圧の治療薬は近年、アンジオテンシンII受容体拮抗薬が登場し、血圧コントロールが容易になっています。しかし、問題は飲み忘れが多いことです。毎日飲まなければならないため、1年経過すると約4割の患者が服薬をやめてしまっています。そこで毎日の服薬を回避するための方法として高血圧のワクチン治療の研究に着手しました」

 例えば、感染症であるインフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスに対する抗体を作り、免疫機能を働かせ、ウイルスの活動を抑え込む。高血圧のワクチン開発では、体内で血圧をあげる働きをするアンジオテンシンIIをターゲットに開発を開始した。

 ただ開発にあたり、事前に自分を攻撃する自己免疫異常が起こらないように設計する必要があった。そこでワクチン製造には、DNAワクチンという遺伝子治療の一種を応用する方法を採用することになった。

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