歩行者に対する自動ブレーキテスト(写真:自動車事故対策機構)
今回の最下位は、「トヨタ ルーミー/タンク」「ダイハツ トール」「スバル ジャスティ」(車名は異なるけれど、同じ車種を3社が販売しているOEM車)です。
点数が低かったのは、“歩行者を検知する機能がない”“車両対象のテストの点数が悪かった”というのが理由です。今年に試験を受けた20台のうち、車両に対する自動ブレーキのテストでは、20台中15台が満点を獲得。歩行者検知機能もほとんどの車両に装備されていました。
また、歩行者に対する自動ブレーキのテストを見ると、満点だったのは「マツダ CX-8」と「日産 リーフ」のみ。逆に言えば、その他のクルマは速度や条件を変えてテストすると、歩行者とぶつかってしまったのです。ちなみに車両に対する自動ブレーキも20台中5台が条件次第ではぶつかるのを回避できなかったということを意味します。
こうした結果を見て何が言えるかといえば、「自動ブレーキは100点満点で停まるものではない」ということ。特に「歩行者は難しい」のです。以前、スバルが「自動ブレーキであるアイサイト装着車は、衝突事故を8割ほども低減した」という調査を発表しました。これは素晴らしい数字ですが、それでも2割はぶつかっています。
また、日本車の自動ブレーキの多くは0~10km/hという極低速に対応できません。さらに天候条件によって突発的にシステムが働かないときもあります。歩行者を認識するカメラが、逆光や光の乱反射などで見えなくなる瞬間があるのです。
そのため、交通事故を防ぐ最終手段は急ブレーキとなります。しかし、これが難しい。普段のブレーキとはまったく違う、早く強いブレーキを踏む必要があります。そのため必要なのが練習です。
どこか安全な場所を見つけて、急ブレーキの練習を行ってください。一度でもやってクルマの挙動をつかんでおけば、万一のときの対応に違いが出るはず。事故を防ぐのは、ドライバー本人の心がけひとつなのです。