ライフ

墓を買ったのに入れない 「終活」中の高齢者が泣いている

第一生命経済研究所主席研究員の小谷みどり氏

 墓があるのに、死後、その墓に入れない前代未聞の「墓トラブル」が相次いでいる。一体何が起きているのか。葬送問題などが専門の小谷みどり・第一生命経済研究所主席研究員が解説する。

 * * *
 近年、日本人のお墓事情が激変し、さまざまなトラブルが起きている。先日、大阪在住の60代の男性から、自分が守ってきた東京の寺にあるおじの墓について相談を受けた。年間の維持費を払い、年に一度は墓参りもしているのに、「墓を撤去されたくなければ九百数十万円を払え」と告げられたというのだ。

 おじには子供がおらず、甥であるその男性が墓守をしてきたのだが、墓の継承は配偶者と実子に限るという寺独自の規則があり、甥は継承する権利がないから、というのが寺の言い分である。高額な請求の根拠は、その墓地を更地にして売った場合の利用料だという。

 こうしたトラブルが起こる背景には、全国的に墓の継承者(墓守)がいなくなり、家ごとに墓を継承する従来のあり方が不可能になってきている現実がある。

 少子化で墓守の該当者が少ない上に、未婚率が上昇してもいる。男性の50歳時点の生涯未婚率は1965年に1.5%だったが、2015年には23.4%に上昇。子供のいない家の墓は途絶えるしかない。都会で暮らす子供が地方の実家の墓守をできないケースも続発しており、「墓じまい」を示す改葬は全国で9万7317件(2016年)もある。

 先に紹介した寺のように、独自の規則を盾に法外な請求を続ければ、継承者不在で無縁化する墓は増える一方だ。 「継承者不在」が引き起こすトラブルは他にもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)
【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン
11月下旬に札幌ススキノにあるガールズバーで火災が発生(右はInstagramより)
【ススキノ・ガルバ爆発】「男は復縁の望みをまだ持っていた」火をつけた男は交際相手A子さんを巻き込んで死のうと…2匹の犬を失って凶行に
NEWSポストセブン
再婚
女子ゴルフ・古閑美保「42才でのおめでた再婚」していた お相手は“元夫の親友”、所属事務所も入籍と出産を認める
NEWSポストセブン
54歳という若さで天国に旅立った中山美穂さん
【入浴中に不慮の事故】「体の一部がもぎ取られる」「誰より会いたい」急逝・中山美穂さん(享年54)がSNSに心境を吐露していた“世界中の誰より愛した人”への想い
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《真美子さんのバースデー》大谷翔平の “気を遣わせないプレゼント” 新妻の「実用的なものがいい」リクエストに…昨年は“1000億円超のサプライズ”
NEWSポストセブン
自宅で
《来年は全国まわるからすごく楽しみ》急逝・中山美穂さんが“最期のコンサート”でファンと歌った「ラストソング」
NEWSポストセブン
「働き方」への思いについて語った渡邊渚アナ
「局アナ時代は“労働は罰”」「パリ五輪会場で出会った外国人への憧れ」元フジテレビ渡邊渚アナが語る「日本の働き方」への思い
NEWSポストセブン