──たとえば、これまで日本代表で一緒にプレーした選手などで、影響を受けた選手はいますか。代表に入ったばかりの頃は、同じ左利きや大胆な発言がクローズアップされ本田圭佑選手と比較されたこともありました。
小林:人と比較するようなことは、楽しんでもらえるなら勝手にやってくださいって感じです。オレはあくまで小林祐希で、誰かに影響を受けたとかそういうのはないです。もちろん、代表に入るような選手は、みんなそれぞれ努力も経験も積んできている人たちなので当然全員をリスペクトしています。だけど、そこで誰かを見習おうとか、真似しようと思ったことは1度もないです。だって代表の同僚を見習ったころで、じゃあ、次はどこを目指すっていうんですか。
最近はサッカースクールをやったりして、オレみたいな選手でも、たまに「小林祐希みたいになりたい」と言ってくれる子どもがいます。でも、そういう子たちには「オレを目指しているようなら、いまのまま終わるよ」って言うんです。誰を目指すかっていえば、いまならメッシであり、GKならノイアーじゃないですか。目指すなら世界一を目指せってことです。それでも、世界のトップに行くのは簡単じゃないですから(笑)。
──4年後のカタールW杯ではキャプテンとして出場を目指すということですが、そのほかにサッカー選手として成し遂げたいことはありますか。
小林:まだプロになって優勝したことがないので、タイトルは獲ってみたいですね。それと、チャンピオンズリーグのアンセムをピッチで聞いてみたい。テレビで聞いても鳥肌が立つのに、ピッチで聞いたらどうなるのか(苦笑)。
──そうなれば、カタールW杯も見えてくる。
小林:オレは普通にやっていれば、(カタールW杯に)行けると思っています。取り組みは間違ってないと思うから。もう26歳になって選手として、これから劇的に変わることはない。少し前のオレは、攻撃が好きだから攻撃をやりたいって言うなど、まだ二流でした。でも、オランダで2年プレーしてきて、いまはその辺の考え方も変わりました。守備を求められれば守備を完璧にこなしたうえで、攻撃もする。求められたことを100%やりつつ、それプラスアルファを出すのが一流だとわかりましたから。
──そうした考え方の変化がオランダでいちばん変わったことですか。
小林:技術云々じゃなくて、幅ですよ。プレーの深みっていうか。オランダに行ったことで、さらに玄人にしかわからないようなプレーが増えてしまった。だから、オレのプレーって自分が最高だと思っても、周りが沸かないし、スタジアムも全然盛り上がらないんですよ(笑)。