切り傷ややけど、しもやけや水虫などに効く「オロナインH軟膏」は、同成分の処方薬「ヒビテン・グルコネート」、「デスパコーワ」などに2017年10月、「ショック(アナフィラキシー)」が追加されたのを受け、同じ副作用の明記を指示された。急激に生じるアレルギー反応で、口や手足の痺れから始まって次第に脈が弱くなり、血圧が急低下し、放置すると意識を失う怖れがある。
しかし、本誌が6月20日に薬局で購入したオロナインH軟膏の添付文書に「ショック(アナフィラキシー)」の文言はなかった。これについて製造販売元の大塚製薬工場は、「既に改訂後の添付文書を封入した製品を製造、出荷していますが、店頭の製品がすべて添付文書改訂後のものに置き換わるには時間を要することになります」(総務課広報担当)と説明する。
販売されている薬には、新たに追加された副作用が記載されていないものも存在しているということだ。
処方薬の場合でも、本誌記者が6月21日に薬局で受け取った鎮痛剤であるボルタレンの説明文書には、この4年間で追加された〈消化管の狭窄・閉塞〉に関する記載がなかった。処方薬に関する副作用の記載は各薬局に任されており、すべての副作用が明記されることはほとんどない。
ロキソニンSは第1類医薬品、オロナインH軟膏とベンザブロックLプラスは第2類医薬品に分類される。
同じ市販薬でも第1類医薬品は薬剤師が居なければ購入できず、第2類医薬品は薬剤師または登録販売者がいれば購入できることになっている。つまり、第2類医薬品は薬剤師経由で副作用を知ることなく使用する可能性が高い。