ライフ

奥深い家庭菜園の水遣り、味も変わる&高温にしない工夫を

家庭菜園において水遣りは重要(イラスト/さややん。)

「家族に安全・安心なものを食べさせたい」「余暇を自然と触れ合って楽しみたい」と、庭先やベランダなどで家庭菜園を始める人が増えている。ところが、大切に育てていたトマトやきゅうりが害虫にやられたり、病気にかかったり。そうした栽培上のトラブルやお悩みが発生しやすいのが、梅雨から夏にかけての、ちょうど今頃。特に、夏野菜の栽培では「水遣り」でつまずく人が多い。 園芸家の深町貴子さんは言う。

「昨今の住宅環境で考えると、例えば気温30℃の日に、直射日光の当たるコンクリートの表面温度は70℃に達します。ベランダに置かれたプランターやコンテナ内には赤外線で熱がこもり、水を含んだ土内の温度は50℃以上になってしまいます。これではいくら水を与えても、お湯で植物が茹で上がってしまい、しおれてしまいます」(深町さん。以下、「」内同じ)

 そうならないためには、コンテナの置き場所をチェック。直射日光が長時間当たる場所なら、半日陰に移してほしい。

「コンテナが大きすぎて動かせなかったり、地面にじか植えしている場合は、シェードを張って日よけの工夫を」

 そのほか、植木鉢をさらに1~2サイズ大きいものに入れて二重鉢にすると、土内の温度が上がりにくくなるのだ。鉢の下にレンガを敷いて風通しをよくし、高温になった床の熱が植木鉢に伝わらないようにするのもよい。

 また、水遣りする時間そのものが最も重要になってくる。

「早朝に水遣りすると、鉢内が高温になりにくい。また、前日にたくさん日を浴びて水を吸い上げ、体力を消耗しているのを回復する意味でも、このタイミングがベストです」

◆水の遣り方で野菜の味が変わる

“水を吸い上げる根の状態”にも常に目を配ること。植物は土が乾くのと潤った状態が繰り返される“乾湿”がないと、呼吸ができない仕組みになっている。

「ひと鉢ごとに持ち上げ、鉢の重さの確認を。鉢が重い場合、根が詰まりすぎて水はけが悪くなっている可能性もあります」

 また、野菜にはその種類ごとに原産国の気温が成長に適する「好適生育温度」があるが、それを超えると生育が停滞し、葉の蒸散活動が弱まるに比例して、根の活動も弱まる。

 植物にとって水は「光合成」「蒸散」「養分摂取」「骨のように体を支える」という4つの大切な役割があるが、それだけに理にかなった水の遣り方が、野菜の味も左右するのだ。

「例えば、夜にしか水を遣らないでいると、水や養分が呼吸や成長にばかり使われ、野菜の味がダウンします」

 夏場の水遣りは思った以上に、奥が深いのだ。

※女性セブン2018年7月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン