ライフ

「さよなら」と挑発されるおっさんにも武器はある

NewsPicksの全面広告(日本経済新聞6月26日付)

 とあるメディアの「宣戦布告」をめぐって世の「おっさん」たちはざわついた。人知れずナイーブな心にトゲが刺さってしまったかのような反応も垣間見られた。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
〈あー、またか。みたいな、困った出来事多いですよね、最近。/それ、だいたいの場合、「おっさん」のせいです。〉

 そんな書き出しのコピーの上には、大きく〈さよなら、おっさん。〉の見出し。おっさんとしてはギクッとせずにはいられない全面広告が、おっさんのおっさんによるおっさんのための新聞である「日本経済新聞」6月26日付朝刊に掲載されました。

 広告主は、ソーシャル経済メディアの「NewsPicks」。ここで言う「おっさん」とは、年齢や性別の話ではなく「この国の、凝り固まった価値観やルールのこと」だとか。要は、「NewsPicks」の有料会員になればダメな「おっさん」になりませんよ、という広告です。

 一見、おっさんを全否定する挑戦的なメッセージに、多くのおっさんが反射的に「どういうことだ!」「失礼な!」といきり立ち、ネット上では炎上状態になりました。あえて過激な表現を使った広告主としては、きっとしてやったりです。自称・知性派のおっさんたちが、痛いところを突かれて悔しかったのか、小難しい小理屈をこねて反論したりそれに乗っかったりする極めておっさん臭い光景も、あちこちで繰り広げられました。

 この広告が言わんとすることはよくわかるし、若くて元気なメディアが、世にはびこる「おっさん的なもの」に異を唱えるのは大いにけっこうです。しかし、いい意味でも悪い意味でも「おっさん」を舐めちゃいけません。この広告自体から「おっさん臭さ」がにじみ出ていることは、まあご愛嬌だし、何をどうやっても「おっさん」からは逃れられない一例として、そこはあたたかく見守ることにしましょう。

 そのへんも含めて、我々おっさんとしては「さよなら、おっさん。」と挑発されたぐらいで、まんまとムカついたら負け。おっさんとしての自信と誇りを取り戻すために、自他ともに「さすがだ、おっさん。」と思えるような要素を見つけたいものです。

 せっかくなので、NewsPicksの広告にあげられている悪いおっさんの例をベースにしてみましょう。広告には、こう書かれていました。 

〈世の中の変化に対して、見て見ぬふりをする。〉
〈能書きを並べて言い訳ばかりする。〉
〈試そうともせずに、すぐに「できない」とか言う。〉

 それぞれ下のようにアレンジすると、おっさんのすごさを表現するコピーになります。

〈世の中や他人のどうでもいい変化に対して、見て見ぬふりができる。〉
〈困ったときは能書きを並べて、周囲や自分自身を言いくるめる。〉
〈試す前に、これまでの経験から「できそうにない」と判断できる。〉

関連記事

トピックス

女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン