ライフ

「日本人」イメージは戦後の一時期の“工場モデル”が作った

ライフネット生命の創業者・出口治明氏

 スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)の人物伝を読まなくても、日本にだってまるで今のシリコンバレーの起業家のような、規格外の人間がゴロゴロいた。そう思って起業家たちの生き方から学べることを『戦前のお金持ち』(小学館新書)という本にまとめたライフネット生命の創業者・出口治明氏が、歴史学者の奈良岡聰智・京都大学大学院教授を相手に、日本人のイメージや本質について考えた。

出口:「相場の神様」と呼ばれた山崎種二は、米相場で大儲けするんですが、「国民が食べるものを買い占めるのはけしからん」と言って、必ず“売り”から入るんです。でも、売りから入っても買いから入っても、国民が食べるお米を元手に“切った張った”をやっているのには変わりはない。つまり屁理屈ですよね(笑い)。ただし、屁理屈であっても、自らのディシプリン、原理原則をちゃんと持っていることが大事で、逆に言えば、そういう原理原則がなければ成功しないという気がするんです。

奈良岡:現代には、ともするとお金を稼ぐためには何でもしてもいい、稼いだお金は何に使ってもいいという、なりふり構わずな風潮があると思うんですが、そうではないお金との付き合い方がかつてはあったということですね。

出口:昔の日本はよかったと言いたいわけではないんです。ただ、僕らが“これが日本人だ”と思い込んでいるイメージは、製造業の工場モデルが社会を引っ張った戦後一時期の日本人を勝手に日本人の本質だと思ってるだけじゃないかと。ほんの100年ぐらい戻っただけでもずいぶん違う風景が見えてくると思うのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン