ライフ

「日本人」イメージは戦後の一時期の“工場モデル”が作った

ライフネット生命の創業者・出口治明氏

 スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)の人物伝を読まなくても、日本にだってまるで今のシリコンバレーの起業家のような、規格外の人間がゴロゴロいた。そう思って起業家たちの生き方から学べることを『戦前のお金持ち』(小学館新書)という本にまとめたライフネット生命の創業者・出口治明氏が、歴史学者の奈良岡聰智・京都大学大学院教授を相手に、日本人のイメージや本質について考えた。

出口:「相場の神様」と呼ばれた山崎種二は、米相場で大儲けするんですが、「国民が食べるものを買い占めるのはけしからん」と言って、必ず“売り”から入るんです。でも、売りから入っても買いから入っても、国民が食べるお米を元手に“切った張った”をやっているのには変わりはない。つまり屁理屈ですよね(笑い)。ただし、屁理屈であっても、自らのディシプリン、原理原則をちゃんと持っていることが大事で、逆に言えば、そういう原理原則がなければ成功しないという気がするんです。

奈良岡:現代には、ともするとお金を稼ぐためには何でもしてもいい、稼いだお金は何に使ってもいいという、なりふり構わずな風潮があると思うんですが、そうではないお金との付き合い方がかつてはあったということですね。

出口:昔の日本はよかったと言いたいわけではないんです。ただ、僕らが“これが日本人だ”と思い込んでいるイメージは、製造業の工場モデルが社会を引っ張った戦後一時期の日本人を勝手に日本人の本質だと思ってるだけじゃないかと。ほんの100年ぐらい戻っただけでもずいぶん違う風景が見えてくると思うのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン