ビジネス

セクハラ、パワハラの温床になる組織にメス入れる3つの方法

「共同体型組織もいよいよ賞味期限切れ」と太田氏

 日大アメフト部による危険タックル指示、財務省事務次官によるセクハラ発言、市長の女性職員に対するセクハラ……。数々と明るみに出る組織内のハラスメントは、単にガバナンス(統治)の方法を変えるだけでは防げないほど根が深い問題といえる。「日本の共同体型の組織自体を見直す必要がある」と力説するのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
 わが国の伝統的な企業や役所の特徴をひとことで言いあらわせば、家族主義、あるいは共同体型の組織だろう。それは人に優しくてチームワークに優れ、メンバーの意欲と能力を引き出す優れたシステムであると高く評価されてきた。

 ところ近年、その評価に疑いの目が向けられるようになった。周知のように日本企業の生産性や国際競争力は1990年代をピークに下落し、その後も低迷が続いている。その一因が非効率な日本型システムにあるというわけだ。また役所や大企業で続発する不祥事も、不透明で閉鎖的な組織が関係していると考えられている。

 そして、共同体型の組織は「人に優しい」という評価もまた揺らぎはじめている。

 その一つが、セクハラやパワハラといったハラスメントの頻発である。とくに伝統のある企業や役所のような、共同体的風土が色濃い組織での発生が目立つ。さらに注目されるのは、財務省の事務次官によるセクハラ発言や、市長の女性職員に対するセクハラ、会社の取引先に対するパワハラなど、「共同体」の範囲が職場の外にまで広がり、内輪の論理がまかり通っている実態である。

 共同体は本来、家族や地域集落のように自生的な生活を共にする人たちの集団である。ところがわが国の会社や役所は、仕事をするための組織であるにもかかわらず、共同体のような一面を備えている。

 いったんそのメンバーになると、組織への忠誠と引き替えに定年近くまで安定した雇用と待遇が保障される。「同じ釜の飯」を食うメンバーどうしは、互いに情緒的で密接な関係を結ぶ。上司と部下の関係も仕事上の役割を超えた、まるで親と子に近いような人格的上下関係になる。

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン