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セクハラ、パワハラの温床になる組織にメス入れる3つの方法

◆「働き方改革」「生産性革命」とセットで改革を

 私は、この共同体型組織の改革を、安倍内閣の目玉である「働き方改革」「生産性革命」、そして「ハラスメント対策」のターゲットに据えるべきだと考えている。その理由は、共同体型組織がいずれの問題とも深く関わっているためだ。

 欧米に比べてわが国では、とくに事務系ホワイトカラーの生産性が低いところに特徴がある。その一因は、拙著『なぜ日本企業は勝てなくなったのか』(新潮選書)で指摘したように、やはり共同体的な執務環境、人事制度、職場風土にあると考えられる。

 そして仕事の効率が悪いため、長時間労働など「仕事づけ」あるいは「会社づけ」の生活に陥りやすい。毎日、遅くまで残業し、休暇も取れないような環境ではプライベートな時間が持てない。そのためしばしば公私が混同され、上司が部下や取引先に過剰な要求をしたり、私的な感情をぶつけたりするケースが出てくる。官僚の記者に対するセクハラ発言などは、「無際限無定量」に働く古き官僚社会の負の側面をあらためて垣間見た気がする。

 企業や役所の職場では「異性がいると残業が苦にならない」という声もしばしば聞かれるが、裏を返せばそれだけハラスメントが起きやすいわけである。

 では、共同体型の組織を変えるため、具体的にどうすればよいか。

 最もオーソドックスな方法は、一人ひとりの仕事上の権限と責任を明確に定めることだ。そうすれば、部下は上司に対して過度に依存しなくても仕事ができるようになるし、弱い立場にある下請なども、あいまいな影響力の行使を恐れなくてもよい。

 2つめは、外国人や中途採用者、出向者など、「異分子」を入れることである。彼らは共同体の空気を共有していないので、彼らが一定以上の勢力になれば組織の風通しがよくなり、悪しき慣行や抑圧的な風土も薄れていく。海外に進出したある日本企業で、たまたま現地労働者を数人雇用した。すると彼らが職場に入ってきただけで、ハラスメントが起きやすい空気が一掃されたという。

 そして3つめは、思い切って残業をなくすことである。効率的に働いて残業がなくなり、終業後にプライベートな時間を存分に過ごせるようになれば、仕事の場に私情を持ち込むような悪弊も消えるに違いない。

 グローバル競争の激化にしても、人権意識の高まりにしても、後戻りすることはあり得ない。好むと好まざるとにかかわらず、共同体型組織にメスを入れるときがやってきたといえよう。

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