そんな基礎知識を押さえた上で、たとえば暑い日なら、ビアガーデンのおしぼりで顔や首の後ろを念入りに拭きながら、「ノネナールを念入りに除去しないとな」と言えば、知識の広さや細やかな気遣いをアピールできます。使ったおしぼりを手に持ってしみじみ見つめつつ、「これはいわば、おっさん臭さの象徴のようなものだなあ。思えば遠くに来たもんだ」と呟いて、しみじみとした気持ちになるのもオツなもの。
ほどよく酔いが回ってきたら、おっさんの得意技であるダジャレの出番。
「ノネナールも惜しかったな。カネナールという名前だったら、みんなに好かれたのに」
「インド料理屋のオヤジの場合は、加齢臭かカレー臭か紛らわしそうだな」
そんな軽口を叩いてダハハと笑い合い、二重の意味でのおっさん臭さに包まれるのも心地よさそうです。
加齢臭とのいろんな香ばしい付き合い方をご提案しました。実用性や実効性があるかどうかは、各自でご判断ください。どれかひとつでも実行できたら、加齢臭バッシングを恐れたり加齢臭に神経質になり過ぎたりする弱い自分とは、きっぱり決別できるはず。ぜんぜん気にしないのも問題ですが、ちゃんと清潔に過ごしていればビクビクする必要はありません。多少の加齢臭は仕方ないと胸を張るのが、真の意味での華麗な生き方です。
ちなみに、なるべく加齢臭を抑えたい場合のコツも、いちおうご紹介しておきましょう。小まめにシャワーを浴びて、汗や皮脂を洗い流す。とくに背中の洗い残しに注意。服も小まめにクリーニングに出し、上着などは衣類用消臭スプレーを使う。動物性たんぱく質や動物性脂肪を控えて、緑黄色野菜をたっぷり摂る。……などなど。
ちろん、とても気になる場合は、加齢臭に対応したボディソープやシャンプーや汗拭きシートを使う手もあります。「そういうのを使う側」に属することにした場合は、そうじゃない側のおっさんを思いっ切り憐れみましょう。自分の立ち位置によって言うことをコロコロ変えるのも、おっさんが加齢によって身に付けた華麗さです。