今さら誰にも聞けない「料理に関する基本」。たとえば、焦げたり、煮崩れたりと、なかなか掴みづらいのが火加減。強火、中火、弱火が一体どれくらいの状態をさすのか、実はわかっていない人も多いのではないだろうか。
そこで女子栄養大学の短期大学部食物栄養学科准教授で、調理学を専門に教鞭をとる豊満美峰子さんに、火加減の基本を伝授していただく。
火加減を使いこなすには、「火の強さ」「火の強さと鍋底に当たるバランス」「鍋の中の状態」の3つを知ることがポイントとなる。
「火加減は、そのときに用いる鍋の底の直径によって変わります。強火なら底からはみ出るかどうかで見極めて。鍋の中の状態も基準になるので、特にIHの場合は欠かさずチェックを」(豊満さん)
火の強弱で料理の仕上がりも左右される。正しい火加減をマスターして、味も見た目も納得の料理を振る舞いたい。
【強火】
強火は炎がちょうど鍋底全体に当たっている状態がベスト。鍋底から炎がはみ出しているのは火力が強すぎて、ガス代も無駄に。火加減は鍋の大きさに合わせて調整すること。鍋の中はグラグラと具材が動くほど勢いよく煮立っている状態。
◆適した料理
→青菜をゆでる。煮汁を煮立たせる。炒め物。肉の表面を焼くなど。
【中火】
鍋底に火の先端が当たるか、当たらないかの火加減。ひと煮立ちしたら中火へなど、多くの料理に応用されるため、火加減と同時に鍋の中の状態も把握したい。鍋の中は煮汁がフツフツと煮立ち、具材が少し動く程度が目安。
◆適した料理
→煮物、焼き物と、ほとんどの料理向き。チャーハンも焦げない。
【弱火】
火の高さがコンロと鍋底のちょうど中間くらいにある火加減。鍋の中は表面がやわらかく波打ち、具材はほぼ動かない。水を弱火にかけると、鍋肌に小さい泡がつく状態。「とろ火」はさらに弱めた火加減。
◆適した料理
→煮崩れしやすい煮物。ハンバーグに火を通す時やシチューなど。
※女性セブン2018年9月6日号