「自分の主張をしっかり持ったコメンテーターは多数いるのですが、番組側が炎上を恐れるあまり、中身のない発言を“せざるを得ない”人がいる現実も分かってほしい。エッジの効いたコメントをすれば、共感する視聴者がいる一方、反感を持つ人も必ず出る。いまのテレビ局は後者の反応ばかり気にする時代なんです。とりわけスポンサー企業のイメージを下げかねない発言には気を遣います。
私も過去、スポンサー批判をして番組を1年間干されたことがありますから。とはいえ平坦なコメントばかりしていると番組における自分の存在価値が薄れていく、という自覚もある。コメンテーターも悩んでいるんです(苦笑)」
前出『マスコミ偽善者列伝』では、昨今のコメンテーターを指して、古代中国の古典『詩経』から次の言葉を引いている。
〈言ふべきに匪(あら)ずんば言ふことなかれ 由(したが)ふべきに匪ずんば語ぐことなかれ〉
加地氏が語る。
「言うべきでないことは話すな。理由のないことはみだりに口にするな、という意味です。真に必要な言葉を持ち得ないコメンテーターであれば、もう必要ないのです」
※週刊ポスト2018年9月7日号