薬をのんだのに、かえって体調が悪くなった──。そんな経験がある人も多いだろう。効き目が弱かったのかと思って使用を続けると、さらに悪くなるばかり。ひょっとして、それは薬の注意書きにもない「未知の副作用」かもしれない。
医師による処方が必要な処方薬にも、新たに多くの副作用が報告されている。最近、皮膚がんや肺がんの一部に適応になった『オプジーボ』にも新たな副作用が発見された。2015~2017年の3回にわたり、黄疸などの症状が現れる硬化性胆管炎などの新たな副作用が書き加えられた。
骨がもろくなり、くしゃみなどのわずかな衝撃で骨折してしまう骨粗鬆症。女性に多く起きる病気だが、今年1月、その治療薬『テリボン』、『フォルテオ』に、意識がなくなったり考えがまとまらなくなる「意識消失」という副作用が加えられた。
1992年以前に受けた輸血や、不潔な状況下でのピアスなど、感染者の血液が血中に入ることで感染するC型肝炎。その治療薬である『ソバルディ』、『ハーボニー』にも高血圧のほか脳梗塞、脳出血など、脳血管障害の副作用が指摘された。医薬情報研究所を運営するエス・アイ・シー取締役で薬剤師の堀美智子さんはこう語る。
「日本救急医学会が『FAST』というキャンペーンを行っています。顔の半分の動きがおかしい(Face)、両手を上げたつもりなのに片手が下がる(Arm)、言葉がおかしい(Speech)といった現象が起きたら、至急(Time)病院へ、というものです。これらの症状は脳血管障害の可能性が疑われます。早ければ早いほど予後がいいので、とにかくすぐに病院にかかることです」
高血圧は、今や国民病ともいわれる。男性に多いと思われがちだが、男女別の患者数は男性445万人、女性567万6000人と、実は女性の方が多い(厚労省、2014年)。
その治療薬にも新・副作用が指摘されている。2016年1月、高血圧薬『アイミクス』に、肝細胞の破壊が急激に進行し、意識障害を引き起こす「劇症肝炎」、さらに白血球が減少して肺炎や敗血症などの感染症にかかりやすくなる「無顆粒球症」の副作用が追加された。
同じ高血圧薬の『アジルバ』にも、手足が脱力したように力が入らなくなり、尿の色がコーラ色のように濃くなる「横紋筋融解症」の副作用が加えられた。
※女性セブン2018年9月13日号