「その時は、見たことも聴いたこともなかったので、落語が何かわかりませんでした。担任の先生に“お笑い”だと教えてもらって、お笑いだったらやりたい!と思いました。今は染左師匠の弟子になることを夢見て、落語を続けています。ひとりで演じるので、自分なりにアレンジができる。個性が出せるところが落語の魅力です」(雅照君)

 その言葉を継いで母親の知子さん(49才)が言う。

「不登校になった時期もあったけど、落語と出会ってからは毎日、生き生きと生活しています。落語は自分で見つけてきた生きがいなので、この子にとって一生の宝物。言葉遣いがとても丁寧になったことはうれしい副産物ですね。お手伝いをお願いしても『えっ~、イヤや~!!』とか言ってたけど、『そんなことじゃ、お弟子さんにはなれないよ』と言うと、『やらせていただきます』と言ってくれるようになりました(笑い)」

 子供たちを変えた落語の効能について、師匠・染左さんはこう話す。

「落語はひとりでやるものですから、しんどい思いもしますが、型があるので、きっちりやったらある程度面白くなるし、結果も出るんです。だから、子供たちの自信にもつながると思います」

 貂々さんに、ちーと君の落語の感想を聞くと──。

「今回は毎日稽古を見てあげました。前日のリハーサルでは早口になっていたので、ゆっくりはっきり話しなさいと言ったんです。本番では途中からちゃんと話せていたのでホッとしました。本人的には今後も落語を続けると言っているので、次も楽しみです」

 と笑顔。ツレさんも、

「妻は息子に、落語が上達したらゲーム機を買ってあげると言って釣っていましたよ(笑い)。ぼくは彼が失敗して何かを掴んでくれたらと思っていましたが、失敗しなかったですね。落語を始めてから、言葉の幅が広がりました」

 とうれしそう。そんな両親の言葉にちーと君も疲れた顔を見せながらも満足げだった。みなさんもぜひご一緒に!

※女性セブン2018年9月13日号

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