いや、そうで無ければならない。これだけの作品を創った人々が、「商業主義」という些(いささ)か歪んだ構造の中であっても、経済的にも社会的にも大成功しなければ、世の中が間違っている。いや日本が間違っている。彼らは有名人になり、爾後日本の映画界の中核を担わなければならない。そしてそれを支えるのは、私達ひとりひとりの観客の審美眼なのである。何を差し置いても本作を観よ。
そして「感染」を広げよ。古今未曾有の、人類史に残る映画のパンデミックが我が日本から始まっている。これは単なる映画のお話では無い。これは事件であり、また奇蹟なのだ。
●ふるや・つねひら/1982年北海道生まれ。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部卒業。主な著書に『左翼も右翼もウソばかり』『草食系のための対米自立論』。最新刊は『女政治家の通信簿』。
※SAPIO2018年9・10月号