沖縄のマンションも、沖縄に行くこと自体が体力的に厳しくなった。楽しむために行っていたはずが、いつしか掃除をする目的で行くようになって疲れてしまってね。それなら手放して、沖縄に行くときはホテルに泊まればいい。家を手放しても、そこでできた友達は財産になっているから、それでいいんだよ。

 モノも処分しています。大量にあった食器や洋服は業者に引き取ってもらったけれど、びっくりするほど安い。買ったときの値段しか頭にないからだろうね。

 困ったのは書籍。江戸川乱歩の初版本の全集などもあったので、捨てるには忍びない。志乃がインターネットで欲しい人の手に渡りやすい古本屋を見つけてきました。こういうことがわかると、処分もやりがいが出てくる。

 私がいつも首に巻いている“ねじねじ”も、200本を処分しました。何百本あっても、結局は好きな色や生地しか巻かないので、使うものだけを残して、あとは捨てました。

 今でも新しい“ねじねじ”は買っているんです。ただ、今までは何でもかんでもという感覚でしたが、良いものを選んで一本一本買うようになったね。

 年を取ると体力も衰えるし嗜好も変わる。すると、不必要なものもたくさん出てくる。私の終活は、年齢相応に生活を見直して、これから新たに生き、過ごしていくための作業だと思う。

※週刊ポスト2018年9月21・28日号

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