平成二十八年に〈深い反省とともに〉という言葉が加わり、今回は〈戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ……〉が加えられた。平成最後の夏、「全国戦没者之霊」に向かい今上陛下は、戦後の「平和な歳月」のその尊き「時」の「長さ」をあえてお言葉として表明された。
「国民と苦楽を共にする」という今上陛下のこの言葉は、御世代わりによって、象徴天皇の歴史が「常に途切れることなく」継承されることへの時間と歴史への深い信頼から発せられている。
【PROFILE】とみおか・こういちろう/1957年、東京都生まれ。中央大学文学部フランス文学科卒業。関東学院大学国際文化学部比較文化学科教授、鎌倉文学館館長。著書に『虚妄の「戦後」』(論創社)、『西部邁 日本人への警告』(共著、イースト・プレス)などがある。
※SAPIO 2018年9・10月号