内蔵のバッテリーが切れれば、酸素ボンベを使った手動での人工呼吸を行なうが、地震直後の大混乱のなか、医師や看護師の手が回らない事態も想定される。
「人手が足りなければ元気な患者に手伝ってもらうことになるかもしれない。しかし、予備の酸素ボンベがあっても、持つのは数時間程度。酸素がなくなれば、自発呼吸ができない患者は呼吸困難に陥る可能性がある」(米山氏)
◆2回目の透析が準備できない
「糖尿病や腎不全で人工透析を受けている患者は、多くの場合、週3回ほどの通院で、1回4時間程度の透析を受けている。透析装置にもバッテリーが内蔵されており、非常用電源が止まったとしても、その日の透析は問題ない」(米山氏)
だが、ブラックアウトが続き、別病院への移動手段も閉ざされた場合、“次の透析”が受けられない。
「そうなると体内に毒素が溜まり、多臓器不全を招くリスクが考えられます」(米山氏)
◆新生児室への酸素供給が止まる危険
生まれたばかりの赤ん坊も危機に晒される。自発呼吸ができない新生児は、保育器の中を酸素で満たすか、鼻や口にチューブを入れて直接酸素を送る。だが、非常用発電機が停止すれば、酸素供給も止まる。
「内蔵のバッテリーが切れ、手動式のボンベの酸素もなくなれば、呼吸不全に陥りかねません」(米山氏)
※週刊ポスト2018年10月5日号