堀江氏をして「1兆人に1人」という価値を持つ人材と評されたさだまさし


◆プライドのなさと好奇心の強さが作品の源泉に

 さださんは「歌手」でくくっちゃいけない人だと思います。ひと言で表すなら「マルチな人」。だからいろんなことに手を出して、失敗することもあるんでしょうけど(笑)。「好奇心の塊」みたいな人なんでしょうね。悪く言うと、とっ散らかるし、飽きっぽい。

 だってあれだけヒット曲があるんだから、大人しく歌だけ歌っていれば間違いなく稼げる。でもそれだと本人はつまらないんでしょうね。僕もいろいろなことをやっているから、その気持ちがよく理解できます。マルチな才能を持っている人は、ひとっところにいられないんです。

 元リクルートの藤原和博さんが唱えていることですが、人はひとつのことに1万時間取り組むと、誰でも「100人に1人」の人材になれるそうです。

 1万時間というと途方もないように思えるかもしれませんが、1日6時間取り組めば、5年で1万時間になります。さださんの場合、歌手を45年やってるわけだから、まさにこの道のプロ。それだけじゃなくて、「詩人」「作曲家」「小説家」という・顔・(=肩書き)を持っている。会社の経営も長くしているから「経営者」の顔もある。何はともあれ、35億円もの借金を無事に返した手腕は見事です。それから「生放送のキャスター」。

 つまりさださんは、マルチにいろいろ手を出して、しかもその分野にのめり込んだお陰で、「100人に1人(歌手)」×「100人に1人(詩人)」×「100人に1人(作曲家)」×「100人に1人(小説家)」×「100人に1人(経営者)」×「100人に1人(生放送のキャスター)」=「1兆人に1人」という価値を持つ人材になっている。他にもいろいろ極めているでしょうから、「1兆人に1人」どころじゃないかもしれません。

 ヘンなプライドがないから、これからも新しい分野に躊躇なくチャレンジしていくでしょう。「失敗して後ろ指さされたらどうしよう」と考えないわけだから。僕も同じですが、さださんも、仕事と遊びの境界線がなくて、ただワクワクすることに飛びついていっただけだと思います。そうして自分でも気づかないうちに、いつの間にか何足ものわらじを履いている。

 プライドのなさと好奇心の強さが、様々なさだ作品の源泉になっているんだと思います。

※さだまさしとゆかいな仲間たち・著/『うらさだ』より

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