片山:退却を「転進」と言い換える旧陸軍の体質につながる指摘ですね。そしてそれは現在の官僚組織に受け継がれているのではないでしょうか。
佐藤:おっしゃるように、その体質は戦後の官僚組織に残っています。記憶に新しい財務事務次官のセクハラ騒動もそう。女性記者に対する「手縛ってもいい?」「胸さわってもいい?」という音声が出ているのに、福田淳一はセクハラをしていないと否定した。麻生財務大臣も福田をかばった。当事者がそれぞれ自分の意見や評価を勝手に述べているだけで、客観的評価とは言えない。
片山:外部の人や組織が調査し、評価すべきなのでしょうが、財務省は自ら調査委員会を設置した上、セクハラを受けた女性記者に調査の協力を求めた。
佐藤:被害女性に名乗り出るように呼びかけて、部下や息がかかった弁護士に調査させようというわけですからね。これって「文句あるなら、一歩前に出ろ!」という話でしょう。
片山:そこにも帝国陸軍の伝統がしっかり残っていたわけか(苦笑)。
セクハラの次は文科省の元局長が息子の裏口入学を巡る疑惑で逮捕された。多くの国民は、官僚の倫理はここまで崩壊したのか、と思ったでしょう。