足元にスーツケースを2つ置けるゆったり空間(撮影/小松士郎)
車体は「シエンタ」がベース。広い室内が細やかなバリアフリー装備を可能にする一方で、衝突回避をサポートする自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティシステム)をはじめ、トヨタの先進予防安全機能を全車標準装備。エアバッグも計6か所に設定している。
「東京都内を走るタクシーは約3万台。それぞれが1日ほぼ20時間稼働していますから、仕方ないといえば仕方ないんですが、タクシーの事故件数はかなり多いんです。しかし、お客様は乗車するタクシーを選べません。だからこそ、安心して命を預け、快適に移動していただける車両でなくてはならない。ドライバーのかたがたにも、発売当時から講習会などで『ぜひ、誇りを持って、運転してください』とお願いしています」(粥川さん)
目標は、ジャパンタクシーの深藍色のボディーが、オリンピックまでに東京の風景のシンボルとなっていることだという。
◆足元にスーツケースを2つ置ける
ジャパンタクシーのキャッチフレーズは「日本のおもてなしに、ご乗車ください」。運転席エリアと客室エリアを遮断することなくほどよい距離で分け、客室エリアはゆったり、足元も広々。大型のスーツケースやベビーカーもそのまま載せられる。
また、天井から床まで1m30cmの開口高を確保。窮屈にかがむことなく乗降できるのがうれしい。さらに座席はフラットなシートクッション形状を採用しているため、座ったままでの横移動もしやすい。
◆開口幅が広くスムーズに乗降
デザイナーはこの大きな電動スライドドアを基点にしてジャパンタクシーを形作っていったという。その結果、セダンでもミニバンでもない、独特のフォルムを持つ車に仕上がった。「並んだときに威圧感を感じないよう、あえてバックドアに段をつけています」(粥川さん)。
スライドドアは好評だが、「もうちょっと速く開閉してくれると、急いでいるお客様がジリジリしなくていいんですけどねえ」と言うタクシードライバーの声も。
◆車いすの方も、そのままどうぞ
助手席と後席をたためば、車いすに座ったまま乗り込めるスペースが出現。乗降用の車いす用スロープも完備している。
「ただ、今年の猛暑の中、スロープ設定に時間がかかって、お客様にご迷惑をかけた例も報告されています。車両メーカーとしての改善を進めるのと同時に、タクシー各社にドライバーのみなさんへの研修徹底などが、今後の重要課題です」(粥川さん)
※女性セブン2018年10月11日号