この研究データとは、前出の津川氏が執筆した論文だ。
米国で肺炎や心疾患などで入院した65歳以上の男女約150万人を対象(2011~2014年)とした調査で、入院日から30日以内の死亡率と、退院後30日以内に再入院する確率を女医と男性医師が担当したケースで比較。
調査の結果、男性医師より女性医師が治療を担当したほうが患者の死亡率や再入院率が低いという結果が出た。執筆者の津川氏が語る。
「理由として、女性医師のほうが患者とのコミュニケーションに多くの時間を割き、ガイドラインを忠実に守る傾向が強いことが挙げられます。『丁寧な診察』という女性医師の特徴は患者からすれば“自信のなさ”と映るかもしれませんが、自分の力を過信せず、エビデンス(科学的根拠)に基づいた診療を行なう姿勢の表われでもあるのです」
裏を返せば、男性医師のほうが時間を掛けず、1人で即断しがちということだ。一見、そういう医師のほうが“自信満々”に見えてしまうから注意が必要だ。
“女だから”“ベテランだから”という先入観は、客観データに裏づけられたものではない。最適な医療を受けるためには、賢い患者になることが必要だ。
※週刊ポスト2018年10月12・19日号