「どうしようもなく悩んでいたあの頃、映画を観ることで、孤独だった僕は救われました。周りに同じような境遇の人間がいなくても、映画には、自分に似た誰かが“いた”と思えることが何度かありました。同じように悩んでいる人間が、国境を越えてもいるんだ、と…。“繋がっている”感覚が持てたんです。子供だから狭い世界しか知らないし、外の世界を知る方法もわからなかったので、『一人きりじゃない』と感じられることは、生きていくのに大切なことでした。
僕のように救われるかもしれない人は、まだ、たくさんいると思います。その人たちに何かのきっかけを届けたい。何気なく観た映画に色々な気持ちが重なって、これは自分のために作られたと思える映画がきっとあるはずです。その映画は、その人にとっての名作になると思います。映画を観ようかな、というきっかけになるといいなと思いながら、映画ネタを作っています。
ライブ(「こがけんシネマクラブ」)では、映画ネタだとあらかじめ知らせてはいますが、お客さんの7割は、お笑いを楽しみに来ている人。だから、“本当に細かすぎる”ネタではなく、映画名だけは知っているけれどまだ観ていない人が観てみようと思えたり、すでに知っている人でももう一度観てみようかなと思ったりするような、映画をより面白く観られる方法がなんとなく伝わるように心がけています。今年の映画のなかでは、1980年代の映画の明るさとわかりやすさのまま表現されている『レディ・プレイヤー1』を、いつかネタにしたいですね。悪役がずっと悪役のままで、最後に女性の部下に殴られるところとか、かつてのヒーローものにはよくある締めくくりで、その場面では嬉しくなりました。
今後、『細かすぎる~』が復活するなら、ぜひ、また出演したいです。そのときは、さらに磨いた映画ネタを準備します!」
【プロフィール】1979年生まれ、福岡県出身。2001年に慶應義塾大学を卒業後、東京NSCに入学。大学の同級生と「マスターピース」というコンビで活動を始め、同年8月に解散し板前に。2008年、同じ相方と「ワンドロップ」を再結成するが、2012年に解散。以後、ピン芸人として活動する。2016年に「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」に出演、「オーマイガー!」と叫びながら奈落に落ちるネタで知られる。10月16日(火)に第4回を迎える映画トークライブ「こがけんシネマクラブ」(場所:ロフトプラスワン)は、ゲストに『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督を迎えて開催。10月24日(水)には「四コマ映画 presents『カタルシネマ』」(場所:渋谷カルチャーカルチャー)に赤坂泰彦さん、有村昆さんとともに出演。