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日本の磁器発祥の伊万里焼 きっかけは朝鮮出兵

『佐賀県立九州陶磁文化館』では、ヨーロッパ各地から蒐集した有田町所蔵の“蒲原コレクション”を展示

 佐賀県は言わずと知れた焼き物の産地。代表的なものには有田焼、伊万里焼、唐津焼などがあるが、その中心となるのが日本で初めて磁器が焼かれた有田だと、佐賀県立九州陶磁文化館学芸課長の徳永貞紹さんは言う。

「有田で磁器が作られ始めたのは、今から400年ほど前の江戸時代前期です。1610年代頃に有田で原料となる陶石が発見されたことから、磁器の生産が始まりました」(徳永さん・以下同)

 そのきっかけは、豊臣秀吉の朝鮮出兵だ。

「山口や九州の大名が戦に駆り出されたのですが、この時、朝鮮半島から連れて来られた陶工が、有田周辺で磁器を焼き始めたのです。そのため、有田だけでなく九州の焼き物の多くは朝鮮半島がルーツになっています。江戸時代は伊万里港から磁器が積み出され、江戸や大阪に送っていたことから、有田や肥前地域で作られた磁器をひとまとめにして『伊万里焼』と呼んでいました。明治時代以降には有田町で焼かれたものを有田焼、伊万里市で焼かれたものを、伊万里焼と分けて呼ぶようになりました」

 ちなみに、現在、古伊万里と呼ぶのは、一般的には有田を中心に肥前地域で江戸時代に作られた磁器を指しており、昔から高級品として珍重されてきたという。

「古伊万里は鎖国時代にも長崎に来ていたオランダ人が買い付けて輸出していました。 ヨーロッパでも高く評価され、富の象徴になり、今でも宮殿などに調度品として多く見られますよ」

 この地の磁器は白を基調としており、絵付けをした時に華やかに見えるのが特徴だ。また、水は通しにくいが、光を通しやすく、丈夫なため半永久的に使える。

 地肌の白さを生かした白磁、華やかな絵付けの花文様など種類もさまざま。有田を訪れる際は、一生使える自分だけの磁器を探してみてはいかが。

※女性セブン2018年10月18日号

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