芸能

映画の脚本となって結実した作家・辻村深月氏のドラえもん愛

映画初脚本の作家・辻村深月氏(ドラえもん右)

 日本の春の風物詩といってもよいドラえもんの劇場映画公開。その新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(2019年3月1日、全国東宝系公開)の制作発表会見が東京都内で行われた。シリーズ39作目となる本作品は、ドラえもんの大ファンとして知られる作家の辻村深月氏が脚本を担当する。

 シナリオを受け取る直前まで、辻村氏の本屋大賞受賞作『かがみの孤城』を読んでいたドラえもん役の声優・水田わさびは、「本当に、マジやばいですよ! 震えが止まらない感じ」と興奮気味に、ドラえもんたちが月を舞台に大冒険を繰り広げる本作の魅力を伝えた。そして辻村氏からは、ドラえもん映画との関わり、小説化への迷いなどが明かされた。

 ドラえもん愛が深いと誰もが認める辻村氏だが、5年ほど前、映画ドラえもんの脚本を依頼されたときには「一生、ファンでいたいから、中で作る人になるのはおこがましい」と辞退していた。その後、故・藤子・F・不二雄氏とともに仕事をした人たちや家族、様々な形でドラえもんを世に送り出してきた人たちと接する機会を得るうちに、徐々にドラえもんとの関わり方について、考え方が変わっていった。そして、シリーズ39作品目の脚本を引き受けると決断した。

「当たり前のように観てきた映画ドラえもんを、情熱を持って一年、一年と次の年へつなげ、さらに次世代へとつなげるお手伝いが出来るなら、こんなに嬉しいことはないです。私にとっての聖書の続きを書くようなものだという思いでした。藤子先生が描いたお話の、原作の続きを自分たちが作っていると感じるところがあり、背筋が伸びる思いもしましたし、すごく、やりがいがありました」(辻村氏)

 1980年に発表されたドラえもんの漫画短編「異説クラブメンバーズバッジ」をひとつのヒントにして、辻村氏は映画の脚本を書き上げた。さらに、その作品を自ら『小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記』(2019年2月7日ごろ発売)という書き下ろし小説にも変身させた。ただ、ドラえもんの小説、というものに関わることには、少し戸惑いもあったという。

「ドラえもんは、圧倒的に、漫画で読むと面白い、アニメで見て楽しいという世界です。自分が小説で書くのはどうなんだろうと迷いながら始めましたが、書いてみると、野比家と一緒にいるような気持ちで、ドラえもんたちを見ていたと気づくことが出来ました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン