館内には彫刻や絵画など、岡本太郎の感性を伝える作品も複数展示
兼田:単細胞のアメーバがいちばん大きくて、最終形の人間はこんなにちっちゃい……。
山下:人間が偉いのではない、生命の根源へ立ち返れと、岡本太郎は叫んでいる。「人類の進歩と調和と言うけれど、人類はそんな進歩なんかしていない。そのテーマに俺は大反対だ」という強烈な意思表示なんです。
黒口:《生命の樹》からは植物を含めた生命の大切さ、そして人間の存在の小ささがひと目で伝わってきます。
山下:岡本太郎は考えてみたら当たり前の、普遍的なメッセージを言い続けた人なんです。
兼田:その当たり前の中に真理があるんですよね。作品を観ていても風景画などはなく、彼の内なるメッセージを感じます。
山下:岡本太郎が放つメッセージは、今の時代になおさら突き刺さってきます。“人類の進歩と調和”といって機械文明は発達したかもしれないけれど、気が付けば人間が機械の奴隷みたいになってしまっている。
兼田:私はインターネットの奴隷で一日中スマホを見てます。
黒口:それが日常なので、もはや危機感すらない……。