環境への意識の高まりは隔世の感すらある。ただ、行き過ぎの事象も見られなくはない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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まるで隕石が降ってくるような災難だったのだろう。雲南省文山市での出来事である。一台の車が同市内に入ろうとしたとき、文山市城市管理総合行政執法局(城管)に所属する大道巡査に見とがめられた。巡査が問題視したのは、車のタイヤについ泥のかたまりだった。それが「街を汚す」というのだ。
運転手は、この泥が「雲南省城市建設管理条例」に定める「道路汚染」の罪になると説明され、運転者も一応納得したという。だが、驚いたのは、提示された罰金があまりに高かったことだ。
切られたキップには、なんと罰金として3000元(約4万9200円)と書かれてあったのだ。
運転手は、道路わきの緑化帯に入って走行し「緑にダメージを与えた」という問題も指摘されていたが、それにしても3000元は高い。とても納得できない車の所有者は、切られたキップを写真とともにすぐにネットにアップしたのだった。
これには多くのネチズンが素早く反応。さまざまなサイトのなかに城管に対する罵詈雑言があふれた。あまりに多くの人々からの苦情が殺到し、最終的に文山市政府が乗り出すこととなったという。
この問題、最終的には3000元の罰金が600元(約9840円)にまで減額され、運転手もすでにそれを納めたというのだが、なんとも腑に落ちない話である。