「トーストやコーヒーを出すシーンが難しかったです。自分の家にいるかのように見せるために、事前にお皿の位置などをチェックしました。私は内向的なタイプなので、合コンではしゃぐシーンにもかなり手こずりました。合コンの冒頭シーンで監督から、『適当に何か喋って』と言われたんですが、何を話していいか分からなくて。そもそも合コン経験がなくて、このシーンが一番難しかったですね(笑)」
日南は「脇役」という認識で演技をしていたが、武正監督からは「重要な役なんだ」と繰り返し言われていた。
「実際に完成した作品を観て、やっと監督に『大事な役』と言ってもらった意味が分かりました。台詞は少ないですが、作中の要所要所で出していただき、トオルの感情の変化や狂気を観る人に感じてもらう一翼を担えたかな、と思いました。この映画は他の作品にはない独特な展開が見どころなので、その世界観に浸ってほしいですね」
今作が久し振りの女優復帰となった日南。「今後は女優としてもっと頑張っていきたい」と話す彼女は、モノクロームの作品の中で鮮烈な印象を残している。
【プロフィール】ひなみ・きょおこ/1994年、愛知県生まれ。2006年、雑誌『ニコラ』の第10回モデルオーディションでグランプリを受賞し、同年10月号より専属モデルとして活動を始める。2010年にドラマ『ハンマーセッション!』(TBS系)で女優デビュー。珠麟-しゅりん-として歌手としても活動するなどマルチに活躍している。