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さいとう・たかを氏 ゴルゴ13がAI兵器にも負けない理由

ゴルゴにあって人工衛星やAIにはない能力とは?(C)さいとう・たかを/さいとう・プロダクション/小学館

 ゴルゴ13は「殺人マシーン」か、「人間か」? 元外務省主任分析官の佐藤優氏と、作者さいとう・たかを氏が、「ゴルゴ(通称G)のインテリジェンス」を語り合う短期集中連載の第3回。ゴルゴが1発の銃弾で壊し続けているものとは──。

 * * *
佐藤:ゴルゴがこれだけ長く愛される理由は、彼が「ヒューマン」だからだと思うんです。冷血な男のように見えますが、決してそうじゃない。

さいとう:冷血一辺倒だったら機械──ただの殺人マシーンになってしまいますから。

佐藤:いまはスパイ衛星の感度もあがっていて、敵の居場所を突き止めることが容易になりました。AI搭載の兵器も続々出てくるでしょうから、ますますスナイパーの居場所はなくなるように見えます。でも、人工衛星やAIには、裏切り者を見分ける能力がありません。ヒューマンなゴルゴならそれができる。

さいとう:ゴルゴは勘が研ぎ澄まされていますから。

佐藤:いやいや、その“勘”こそ、人間と機械の重要な違いです。

さいとう:しかし、ゴルゴのようなヒーローは、日本でしかウケないでしょうな。

佐藤:なぜですか?

さいとう:ハリウッドの映画を観ていたらわかりますが、「人間」のヒーローは、一瞬だけで終わり。その事件でヒーローになったとしても、終わった後はまた普通の日常生活に戻る。それがアメリカ人の考えるヒーローです。人間が、ずっとヒーローであり続けることが理解できない。『スーパーマン』や『バットマン』『スパイダーマン』というヒーローものもありますが、あり得ないSF的発想で描かれています。だから受け入れる。

佐藤:なるほど、ゴルゴはあくまで「あり得る」世界です。

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