佐藤:壊れた原発を長い歳月をかけて、国家が管理していかなければならない。それがいつ終わるかも分からない。敵を内に抱え込んでしまったとも言える。
片山:そこは、1970年、1980年代に流行したディストピア小説と比べるとよく分かる。当時のディストピアは、第三次大戦や核戦争による世界滅亡や、ソ連の侵攻によって出現する。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。片山杜秀氏との本誌対談をまとめた『平成史』が発売中。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究者。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『「五箇条の誓文」で解く日本史』。
■構成/山川徹、撮影/小倉雄一郎
※SAPIO2018年11・12月号