著者は、とにかく癌には症状がないことを力説し、気になれば内視鏡検査を早く受けることを勧める。胃のバリウム検査を重ねると放射線被曝を受けて発癌に至る可能性も否定できない。胃癌の初期段階は表面上フラットで大腸癌のようにポリープ状にならないので、やはり内視鏡検査で発見する以外に仕方がない。
著者は、ほとんどの癌を5ミリ以下の広がりで発見できるらしい。この規模で発見できれば手術でなく口から内視鏡で切除できるのだから、患者の体への負担も軽い。ちなみに、以上に触れた疾患を私も何らかの形で経験したので、この本の説得力は特別である。今からでも遅くない。この本を読んで日々気を付ければ、病気もこわくないという、明るい気分にさせてくれる爽快な書物である。
※週刊ポスト2018年12月14日号